ケシツブチョッキリ族・ハマキチョッキリ族
チョッキリ族(1)
イクビチョッキリ族
チョッキリ族
キイロ
アマミ
コルリ
コクロ
マダラケブカ
ツツムネ
チビケブカ
ヒメケブカ
グミ
クロ
オオケブカ
クチナガ
カギアシ
オオカミ
ハラダ
カラス
ドウガネ
モモ
ハイイロ
キイロチョッキリCartorhynchites (Cartorhynchoides) flavus (Sawada,1993)
体長 | 3.0-3.5(mm) |
色彩 | 黄色,頭部はやや暗色になることもある. |
特徴 | 吻は雌雄とも短く著しく太い.複眼は大きく,特にオスは目立つ.上翅にはやや長い褐色の直立毛と淡色の斜生毛が密生する. |
近似種 | アマミチョッキリ: 体色,上翅の被毛の状態が異なる. |
ホスト | ヒサカキ |
生態 | 不明 |
分布 | 八重山 |
アマミチョッキリCartorhynchites (Cartorhynchoides) amamiensis (Voss,1971)
体長 | 2.2-2.5(mm) |
色彩 | 上翅は褐色,肢は黄色,その他はやや緑色光沢のある暗褐色 |
特徴 | 吻は太く短い.頭部は方形で複眼は大きく側方に張り出す.上翅は細かい斜生毛が密生する. |
近似種 | キイロチョッキリ: 体色,上翅の被毛の状態が異なる. |
ホスト | アマシバ |
生態 | 不明 |
分布 | 奄美 |
コルリチョッキリCartorhynchites (Cartorhynchoides) apertus (Sharp,1889)
体長 | 2.1-3.0(mm) |
色彩 | 上翅は光沢のある濃紺色,他は黒色 |
特徴 | 吻は短く頭部は幅の方が長さより大きい.オスの複眼はやや張り出す.前胸側面はほとんど丸みがない.上翅は黄褐色の余り長くない斜生毛で覆われる.触角第1節は柄節とほぼ同じ太さで,第7節は幅より長い. |
近似種 | チビケブカチョッキリ: 頭部の形態,吻の長さから区別できる.出現時期が完全にずれるので混同する可能性は低い. コクロチョッキリ: 色彩,前胸の形状,触角の違いから判別できる. |
ホスト | タンナサワフタギ |
生態 | 年2回初夏,秋出現,成虫越冬?潜葉性 葉の裏から主脈に穿孔し産卵する.1葉当たり2-3卵産み込む.幼虫は主脈,葉柄を食べ,土中で蛹化・羽化する.8月頃から新成虫が現れ,後食してから越冬する. |
分布 | 普通(低山地,山地) 北海道,本州,四国,九州 県別分布表 |
備考 | 原色日本甲虫図鑑にはルリデオチョッキリ Depasophilus apertus として記載されている.1988年に沢田により属が変更された. |
コクロチョッキリCartorhynchites (Cartorhynchoides) subtilis (Sawada,1993)
体長 | 2.4-2.8(mm) |
色彩 | 黒色,肢は暗赤褐色 |
特徴 | 吻は短く太い.前胸側面のやや膨らむ.上翅は褐色斜生毛に密に覆われる.オスの複眼は大きく,側方に張り出す.触角第1節は柄節より太く,第7節は幅よりかなり長い. |
近似種 | コルリチョッキリ: 本種には青色光沢がなく,前胸側面の丸みの違いから判別する.分布が重ならないので混同することはない. |
ホスト | 不明 |
生態 | 不明,4,5月と10月に捕れている. |
分布 | 沖縄,八重山 |
マダラケブカチョッキリEcnomonychus (Maculinvolvulus) singularis (Roelofs,1874)
体長 | 2.8-3.5(mm) |
色彩 | 肢,触角,前胸背板前縁,後縁は赤褐色.上翅は黒色でマダラ状に赤褐色部がある.その他は黒色. |
特徴 | 吻は太く短く,頭部は幅広か方形で後頭部はくびれない.やや長い白色毛により上翅は不規則な紋が形成される.オスの複眼はやや張り出す. |
近似種 | なし |
ホスト | タンナサワフタギ,サワフタギ |
生態 | 年2回初夏,秋出現,成虫越冬,葉切断,潜葉性 葉の基部に裏側から切り込みを入れ,主脈に穿孔し産卵する.葉を切り落とすこともある.産卵数は1葉当たり1-2卵産み込まれ,幼虫は潜葉性である.土中で蛹化・羽化し8月下旬から9月にかけて後食し越冬する. |
分布 | 山地性,普通種であるが多くはない. 本州,九州,中国 県別分布表 |
ツツムネチョッキリInvolvulus (Involvulus) cylindricollis (Schilsky,1906)
体長 | 3.7-4.8(mm) |
色彩 | 青藍色,暗紫色 |
特徴 | 吻は体長の20%前後と短く,メスの吻はオスより長く平均的に緩く湾曲する.オスでは触角は吻中央よりわずかに先方に付き,吻背面はその付近で屈曲する.頭部は幅広く,オスの後頭部はほぼ平行,メスでは前胸に向かってわずかに広がる.前胸は筒状で側縁の膨らみは弱い.上翅の点刻列ははっきりしており,被毛は直立するものと斜生するものとがありあまり長くない. |
近似種 | ヒメケブカチョッキリ: 前胸の膨らみ,被毛の状態で区別する. |
ホスト | ナナカマド,ズミ,カマツカ,サクラ,エゾノコリンゴ,ウメ |
生態 | 年2回春,夏出現,成虫越冬?茎切断 新緑の頃ナナカマドの新梢を切って産卵する.多産地では新梢という新梢が切られていることもある.このころ得られる個体はほとんど紫色をしている.初夏ナナカマドの実が大きくなり始めると青色の個体が見られるようになる.これらの個体が実を後食するのは確認しているが,ナナカマドの実に産卵するかどうかは分からない. 日和田高原での観察ではエゾノコリンゴの実に産卵していたのを確認している.その際,茎を切断することはない.一方ウメの実に産卵する個体群は茎を切断する.春出現の個体群と初夏に出現する個体群とでは産卵形態が異なる可能性が強く,さらに詳しく調べてみる必要がある. |
分布 | ナナカマド,ズミの生える山地では普通 北海道,本州,九州,千島 県別分布表 |
備考 | 従来紫色の個体をウメチョッキリ I.cupreus(Linne)としてきたが,1993年沢田により統合された.生態的には両者は異なっているように見え別種の可能性も否定できない. |
チビケブカチョッキリInvolvulus (Parivolvulus) apionoides (Sharp,1889)
体長 | 2.5-2.9(mm) |
色彩 | 青藍色 |
特徴 | 頭部は幅より長く筒状.吻は頭長よりかなり長い.前胸背板は粗く点刻される.和名ではケブカとあるが,短い斜生毛はあるがあまり濃くない.雌雄の形態差はごくわずかで判別は難しい.オスでは複眼がメスに比べて少し張り出すのと,吻背面の触角付着点付近での曲がり具合がやや強い程度である. |
近似種 | コルリチョッキリ: 頭部の形態,吻の長さから区別できる. ヒメケブカチョッキリ: 大きさの違い,頭部の形態,被毛の状態で判別する. |
ホスト | メギ |
生態 | 年1回春出現? |
分布 | 分布が局地的で少ない. 本州 県別分布表 |
ヒメケブカチョッキリInvolvulus (Parivolvulus) pilosus (Roelofs,1874)
体長 | 3.0-4.5(mm) |
色彩 | 光沢のある青藍色,ときに暗紫色 |
特徴 | 吻は細長く体長の30%ほど.雌雄で吻の長さに大きな差はなく,形状はメスの吻が緩く一定して湾曲するのに対し,オスでは吻中央よりやや前方の触角付着点付近で吻背面が屈曲する.頭部は幅広く,雌雄とも後頭部は前胸に向かって広がる.オスの前胸は強く膨らみ中央後方で最大幅となる.メスでは膨らみは弱い.上翅側面の第9点刻列と第10点刻列は上翅中央付近で合流するが,間室に点刻があり,また被毛が濃いため分かりにくい.黒色被毛は長く,直立するものと斜生するものとが密生する. |
近似種 | ツツムネチョッキリ: 前胸の膨らみ,被毛の状態で区別する. チビケブカチョッキリ: 大きさの違い,頭部の形態,被毛の状態で判別する. オオケブカチョッキリ: 上翅側面の第9点刻列と第10点刻列の状態で判別する. |
ホスト | ノイバラ,バラ,キイチゴ |
生態 | 年2化?春,夏~秋,成虫越冬,茎切断 4月から10月まで断続的に見られる.茎を切断し産卵する.産卵部を積極的に切り落とすことはない.幼虫は茎内部を食べて成長し,土中に入って蛹化・羽化する. |
分布 | 極めて普通(平地,山地),バラの害虫 本州,四国,九州 県別分布表 |
グミチョッキリInvolvulus (Parivolvulus) placidus (Sharp,1889)
体長 | 3.0-4.4(mm) |
色彩 | 青味のある黒色,上翅はやや青緑色光沢がある. |
特徴 | 吻は体長の1/3ほどで次種と比べてかなり短い.オスの吻はメスに比べてやや短く,湾曲が強く,触角は吻中央よりわずかに先方に付く.上翅側面の第9点刻列と第10点刻列は上翅中央付近で合流する.あまり長くない淡色毛が斜生し,まばらに少し長めの直立毛が生えている. |
近似種 | クチナガチョッキリ: 吻の長さが違う. オオケブカチョッキリ: 上翅側面の第9点刻列と第10点刻列の状態で判別する. |
ホスト | ナツグミ,アキグミ |
生態 | 年1回晩春出現,成虫越冬? 実に産卵 十分に大きくはなっているがまだ熟し始める前の実に吻基部まで入る孔をあけ,反転し果肉中に産卵する.産卵後孔に再び吻を突っ込み卵を押し込む.実を割ってみると以外に浅いところに産卵されている.幼虫は種子の内部を食べて成長するが,実は赤熟する.幼虫は土中で蛹化・羽化する.山地でアキグミを利用する個体は8月にも見られる.(平地でも晩夏に捕れることがあるが,これが新成虫なのか遅く出てきた越冬成虫なのか分からない.)ナツグミを利用する個体とアキグミを利用する個体とは出現時期が完全にずれている可能性がある. |
分布 | 普通種 (里,山地) 林内より開けた荒れ地,人家周辺にグミは多い. 北海道,本州 県別分布表 |
クロチョッキリInvolvulus (Teretriorhynchites) funebris (Sharp,1889)
体長 | 5.0(mm) |
色彩 | 黒色 |
特徴 | 1オスのみで記載された.形態的には次種に酷似する.触角基部4節はほとんど同じ長さ.上翅側面の第9点刻列と第10点刻列は末端近くまで合流しない.やや長い褐色毛が斜生している. |
近似種 | オオケブカチョッキリ: 色彩の違い,触角の状態で判別する. |
ホスト | 不明 |
生態 | 不明 |
分布 | ほとんど捕れていない. 北海道 |
備考 | 次種のシノニムの可能性が高い.東北地方でも黒いオオケブカチョッキリが採れており,また北海道でも青いクロチョッキリが採れている.単なる色彩変異であろう. 海外でも記録されているが果たして同一のものか疑問がある. |
オオケブカチョッキリInvolvulus (Teretriorhynchites) amabilis (Roelofs,1874)
体長 | 4.3-4.7(mm) |
色彩 | やや光沢のある濃紺色 |
特徴 | 吻はやや長い.雌雄で長さの差はあまりなく,触角付着点がオスの方が少し前方にある程度の違いである.触角第3,第4節は第1節に比べてかなり長い.前胸は雌雄とも丸く,オスの方が下ぶくれである.点刻は大きく強い.上翅側面の第9点刻列と第10点刻列は末端近くまで合流しない.ケブカチョキリの和名があるが,やや長い褐色毛が斜生しているものの毛深いというほどではない. |
近似種 | クロチョッキリ: 色彩の違い,触角の状態で判別する. グミチョッキリ: 体型はよく似ている.上翅の色彩が異なり,本種の方がずっと暗い.上翅側面の第9点刻列と第10点刻列の状態で判別する. ヒメケブカチョッキリ: 名前から想像して大型のヒメケブカチョッキリを本種ではないかと思ってしまうが,大きさの差はほとんどない.オオケブカチョッキリの方が全体に太めであるが.上翅側面の第9点刻列と第10点刻列の状態で判別する. |
ホスト | カラマツソウ |
生態 | 年1回春出現,葉柄切断 葉柄の基部近くを切断し,先端方向の切断面からポケット状の穴をあけ産卵する.積極的に切り落とすことはない. |
分布 | 分布は広いが局地的で少ない. 本州,九州 県別分布表 |
備考 | 1993年沢田により属が変更されたが,再び元に戻された. |
クチナガチョッキリMecorhis (Thompsonirhinus) plumbae (Roelofs,1874)
体長 | 3.7-5.0(mm) |
色彩 | 暗い青味のある黒色,上翅はより青味がある. |
特徴 | 吻は細長く体長の半分近くになる.オスの吻はメスに比べてやや短く,湾曲が強く,触角は吻中央よりわずかに先方に付く.長い青白色の斜生毛が密に生え,まばらにより長い直立毛を持つ. |
近似種 | グミチョッキリ: 吻の長さが違う. |
ホスト | アオツヅラフジ,メギ |
生態 | 年2回夏,秋出現,成虫越冬?実に産卵 6月頃に見られることもあるが,通常はアオツヅラフジの実が大きくなり始める7月頃より産卵が始まる.まだ青い実に穴をあけ果肉中に産卵する.幼虫は果肉ではなく種子を食べ,成熟すると実から脱出し土中で蛹化・羽化する.9月から10月にかけても成虫が見られるが産卵しているかどうかは分からない. |
分布 | 暖地性 沿海部,川岸などでは多い. 本州,四国,九州,朝鮮,中国 県別分布表 |
カギアシチョッキリCneminvolvulus (Cneminvolvulus) rugosicollis (Voss,1920)
体長 | 2.9-3.6(mm) |
色彩 | 黒色 |
特徴 | 吻は細長く体長の40%ほどで直線的である.複眼は強く張り出し,前胸は強く点刻されしわ状.上翅は両側ほぼ平行で,やや寝た長い毛とより長い直立毛に覆われる.中・後脛節は強く平圧され,特にオスの脛節先方内側には顕著な鉤穴状構造がある. |
近似種 | オオカミチョッキリ: 吻の長さの違い,上翅の状態から判別する. ハラダチョッキリ: 体色の違い,被毛の状態で区別できる. |
ホスト | アベマキ |
生態 | 年1回春出現,新梢切断 |
分布 | 対馬,朝鮮 |
オオカミチョッキリCneminvolvulus (Metinvolvulus) lupulus Sawada,1993
体長 | 3.7-4.4(mm) |
色彩 | わずかに青味のある黒色 |
特徴 | 吻は著しく細長く体長の70%くらいで湾曲が小さい.上翅の被毛は長くやや立った毛とまばらな直立毛とに覆われる.中・後脛節は強く平圧され,特にオスの脛節先方内側には顕著な鉤穴状構造があるが前種ほど大きくはない. |
近似種 | カギアシチョッキリ: 吻の長さの違い,上翅の状態から判別する. ハラダチョッキリ: 体色の違い,被毛の状態で区別できる. |
ホスト | 不明 |
生態 | 不明 晩春から初夏にかけて捕れている. |
分布 | 九州(霧島),屋久島 |
ハラダチョッキリCneminvolvulus (Metinvolvulus) haradai (Kono,1940)
体長 | 3.1-4.0(mm) |
色彩 | 光沢のある青藍色,肢,触角,吻は黒色. |
特徴 | 吻は著しく細長く体長の60%くらいで湾曲が小さい.上翅の被毛は寝た毛とまばらなやや立った細毛とからなる.中・後脛節は強く平圧され,特にオスの脛節先端内側にはわずかに鉤穴状構造がある. |
近似種 | カギアシチョッキリ,オオカミチョッキリ: 体色の違い,被毛の状態で区別できる. |
ホスト | エゾマツ |
生態 | 新梢切断 |
分布 | 山地 北海道,本州,九州 県別分布表 |
カラスチョッキリCneminvolvulus (Nigrorhynchites) cornix (Sawada, 1993)
体長 | 2.7-3.5(mm) |
色彩 | わずかに青味のある黒色 |
特徴 | 吻は細長く,頭部,前胸は幅広く点刻は強くしわ状.短い褐色被毛が斜生する.中・後脛節はやや湾曲し強く平圧される. |
近似種 | ドウガネチョッキリ: 色彩が全く異なる.上翅の被毛の状態で区別できる. カシルリチョッキリ: よく見ると似ていないのですぐ分かる. |
ホスト | タブ,カエデ |
生態 | 年1回春出現,新梢切断 まだ葉が十分展開していない新梢を直線状に何列も噛み傷を付け,穿孔して産卵する.産卵後その下方に輪状に噛み傷を付け茎を半分ほど切断する.積極的に切り落とすことはないようである. |
分布 | 東海地方では極めて少ない. 本州,九州,奄美,沖縄 県別分布表 |
ドウガネチョッキリCneminvolvulus (Nigrorhynchites) aes (Sawada, 1993)
体長 | 3.2-4.2(mm) |
色彩 | 黒色,やや真鍮色光沢がある. |
特徴 | 吻は細長く,頭部,前胸は幅広く点刻は強くしわ状.前胸側面は丸い.上翅はやや寝た長い毛と,まばらな直立毛に覆われる.中・後脛節はやや湾曲し強く平圧される. |
近似種 | カラスチョッキリ: 色彩が全く異なる.上翅の被毛の状態で区別できる. |
ホスト | イスノキ |
生態 | 3,4月に捕れている.実に産卵,切り落とす. |
分布 | 沖縄,奄美 |
モモチョッキリRhynchites (Epirhynchites) heros Roelofs,1874
体長 | 6.4-9.7(mm) |
色彩 | やや金属光沢のある濃赤紫色 |
特徴 | 吻は太く長い.メスの吻は一定の曲率で湾曲し,触角は吻中央に付く.オスでは触角は吻中央より先端よりに付着しその付近から急角度に曲がる.オスの前胸側面下部には1対のトゲ状突起があるが,小さいので背面からはほとんど見えない. |
近似種 | なし |
ホスト | モモ,ビワ,リンゴ,ナシ |
生態 | 年1回春,初夏出現,実に産卵,切断 大型で普通に見られ典型的なチョッキリの習性を持つので多くの書籍で紹介されている.4月下旬頃からビワで,実が3cmくらいに膨らむ6月からはモモで見られる.実の付いた枝の下部を切り,実に穴をあけ果肉中に産卵する.積極的に切り落とすことはない.幼虫は果肉ではなく種子の内部を食べる.成熟すると実から脱出し土中で蛹化・羽化する. |
分布 | 普通種 (里) 果樹の害虫. 北海道,本州,四国,九州 県別分布表 |
ハイイロチョッキリCyllorynchites (Cyllorynchites) ursulus ursulus (Roelofs,1874)
体長 | 6.3-8.0(mm) |
色彩 | 地色は黒色 |
特徴 | 黒色直毛をまばらに,灰白色短毛を密に装い,新鮮な個体は完全に灰色に見える.シーズン後半になると毛が脱落し黒っぽくなる.吻は細長く体長の2/3に達しシギゾウムシ類に似る.オスの前胸側面下部に顕著なトゲ状の突起がある. |
近似種 | なし |
ホスト | コナラ,クヌギ,アベマキ,アラカシ |
生態 | 年1回秋出現,幼虫越冬,実に産卵,切り落とし 8月下旬から9月中旬にかけてもっぱらコナラの実に産卵する.クヌギ,アベマキも利用するが多くはない.(コナラに比べて幼虫の成長は遅いようである.)10月に入るとアラカシを利用することもあるが少ない. まだ完全に熟さない実を慎重に調べ,手前の枝に切り目を入れる.殻斗(帽子)と堅果との境界付近の殻斗の上から錐もみするように体を動かして吻の長さいっぱいまで穿孔し,反転して長さ1mm径0.5mmくらいの卵を1つ産み付ける. 卵は吻を使って孔の奥,堅果表皮から2-3mm子葉の内部に入ったところに押し込む.枝の切れ目をさらに切って切り落とす.1枝に2-3個実が着いている場合は全ての実に産卵してから切り落とす. 卵は4-6日で孵化し,幼虫は子葉の中心部に食い入ってから周辺部を食べる.3-4週間で成熟し(実が乾燥すると成長が遅れる),実に穴をあけ脱出し土中で越冬し,翌年5月中旬から6月にかけて蛹化・羽化する. 夏まで地下で過ごすものと思われる.新成虫は膨らみ始めたドングリを後食する.後食した実を切り落とすことはない.公園などの天敵の少ないところではほとんどの実が産卵されることもある. コナラシギゾウムシ,クヌギシギゾウムシもドングリに産卵するが切り落とすことはない.糞の状態がハイロチョッキリと異なっている(ハイイロチョッキリのは黒い針金状,シギゾウムシではペースト状)ので脱出後の実の内部を調べてもどちらの種が寄生していたか分かる. 沢田佳久氏のページもご覧下さい.http://www.gao.ne.jp/~tgs1698/hc/haiiro/haiiro.htm |
分布 | 普通種(平地,低山地) 本州,四国,九州,朝鮮 県別分布表 |