(1) 葉の点検メスが葉に飛来すると葉の表側を何度か巡り歩きます.おそらく葉の状態(葉の大きさ,鮮度,虫食いの有無など)を調べているのでしょう. 気に入らなければ別の葉に移ってしまいます.気に入ると主脈に沿って葉の基部の方に上がってきます.これは葉を切り始める位置を測る行動と思われます. (2) 葉を切る葉の縁に移動して葉を切り始めます.右側から切り始めたり,左側から切り始めたり,どちら側から切り始めるかは決まっていないようです. かなりの数を平均してみると,右利き左利きほぼ同数です.個体によっては違うものもあるかもしれません.種類によって葉の切り方が違います. →葉の切り方 |
(3) 葉に噛み傷を付ける葉を切り終わると葉の裏に移動します.切り始めた側とは反対側に主脈に沿って細かい噛み傷を密に施します.葉を巻き上げる際に内側となる方です. 葉の周辺部にも噛み傷を入れます.揺籃の底になる部分です. これによって葉がしおれやすくなると同時に, 折り癖が容易に癖が付くようにするためと思われます. 次に下の方から主脈に噛み傷を入れてゆきます.初めのうちは細かく, 基部に近いところではかなりしっかりと付けます. (4) 葉に折り目を付ける しばらくすると葉がしおれ始め葉が少し閉じてきます.オトシブミは主脈にまたがるようにして足に力を入れて葉を挟んでゆきます.
やがて折り癖が付き葉が合わさります. (5) 葉を巻く 葉を巻くと表現しましたが,ただぐるぐると巻き上げるわけではないのです. |
(6) 産卵葉を2-3周巻くと表面から穴をあけ,中心部分に卵を産み込みます.ほとんどの場合1個です.2個産む場合も報告されていますが, そう多くはありません.2つの卵が接触していると先に孵化した幼虫が残りの卵を食べてしまいます.また, 揺籃が小さいとその中で2個体同時に蛹化・羽化するのは難しいでしょう.比較的大型の揺籃では複数個体が成虫にまで成長した例が知られています. その場合は産卵孔が別になっており卵が接触しないように産み付けてあります. 2個産卵するのは卵に寄生するハチ,ハエ対策であろうと説がありますがはっきりしたことは分かっていません. (寄生される率が高い地方では,2卵産み込まれている揺籃の比率が大きいそうです.) 2つあればどちらか一方は寄生されずにすむ可能性が高くなるということでしょうが,両方とも寄生されている例も多く 本当にこれが有効な寄生対策になっているかは疑問です. |
(7) 仕上げ 葉巻作業はかなり力がいると思われます.少しずつ着実に巻き上げます. |