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ここ掘れワンワン

5月のとある土曜日、今日は桃子が遊びに来る日であった。
しかし、「事故で車はなくなるし、お金もないし、ふんだりけったり、どうしようかなあ」
そうすると、ポッちゃんが「ワン」と吠え、またメールが入ってきた「お金がないのだったら 二人で競馬に行きなよ。1レースは3−5、2レースは5−6・・・・・お金なら心配しないでいいんだよ。僕がプレゼントするから。」とレースの予想らしき内容であった。
「また、ポッちゃんのいたずらだろう。」そう思いながらもこれといって予定がないので、二人で競馬にでも行くことにした。
やがて桃子が賢介の家にやってきたのはお昼に近かった。二人で電車に乗りJR金山駅前にあるウインズについた。
賢介も桃子も競馬なんてほとんど行ったことがなかったから、馬券の買い方すらわからない状況であった。
「さて桃ちゃん、どれにする?」
「わたしだって知らないわよ、賢ちゃんの好きなのを買おうよ」こんな会話をしながら、さきほどのポッちゃんのメールの件を思い出した。
(そういえば第6レースは確か2−6とかいっていたなあ)
テレビ画面のオッズを見ると倍率が表示してあり2−6 98倍とあった
ということは、「1000円買えば98000円になるんだなあ」
桃子と二人で1000円ずつ出しあい馬券を買った。
モニターテレビでレースを見ていると なんと本当に2−6で賢介たちが馬券を買った馬が走ってきた
賢介はなんだかキツネにつままれたようで気味がわるかったが、桃子は大喜びだった。
「賢ちゃんてすごい!ギャンブルにまで才能があるのね。わたし、賢ちゃんのお嫁さんになれて幸せかも」・・・(まったく女は単純である)
二人は面白がって競馬を楽しみ、購入した馬券は全てが的中したためレースが終了したときにはバックの中には現金がいっぱいになってしまった。
二人は、こんな大金を持ったことがないので恐ろしくなり、結局食事は880円のみそかつ定食を食べることになった。(貧乏人のはかなさ?)

家では、ポチは賢介の両親の部屋に入りびたり愛嬌を振りまいていた、賢介たちの前にはあまりあらわれなかった。
 次の日桃子が栃尾温泉の自分の家に帰り、賢介が部屋で一人でいるとまたメールが入った「きのうは面白かった?競馬も僕のいったとおりだったでしょう。僕からのプレゼントだよ!」・・・・
やはりポチは普通の犬ではないのだ。未来まで予言ができるのだ。まるでバック・トゥー・ザ・フューチャーの映画みたいである・・・
しかし、賢介はお金に執着心がないので こんなことでの金儲けは二度と行わなかった。(もったいない話であるが、こんな話ならば「花咲かじいさん」の世界である)
賢介の普段の生活は相変わらず陶都市立総合病院中央放射線技術部で中堅の技師として業務に専念する毎日であった。
ポチも普段は普通の犬の生活をしているようだ