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捨て犬 or 宇宙人

ポチは賢介が中学校3年生の時、学校の体育館の隅に捨てられ今にも死にそうに悲しそうな声で弱々しく泣いていた捨て犬を賢介が拾ってきて、両親にポチと名付けてもらい、家族同様に大切に育てられた犬である。体は真っ白で少し紀州犬が混ざった雑種であった。賢介は一人っ子であるためポチを自分の弟のようにかわいがって育てていた。

賢介の体もすっかり良くなり、家でパソコンのメールを打っているときだった。
そばにはいつものようにポチが寝そべっていた。
パソコンのインターネット画面に−メールの受信中−というメッセージが入り、メールを開いてみると、差出人pocchan21とあった。見知らぬ差出人である。
メールの内容を確認すると「賢介君ありがとう。僕を助けてくれたんだね。あのとき車が落ちる際、賢介君が僕をだっこして守ってくれなかったら僕はきっと死んでいたんだよ。
そして、もっと前、僕が捨てられていたのを拾ってくれなかったらきっと死んでいたんだよ。二度も命を救ってくれてありがとう。いつかきっとお礼をするからね。」
何だ、このメールは
一瞬わけがわからなくなった。このメールは内容からするとポッちゃんからのメール??
そんなばかな、犬がメールを打つわけがない。差出人も知らないし、きっと誰かのいたずらだろう、そう考えた。何気なしにポチの方をみると気のせいかニヤッと笑っているようにも見えた。
「ポッちゃん、このメールはおまえが送ったのか?」そう尋ねると、またメールが入り「僕だよ、ポチだよ 僕がメールを送ったんだよ」賢介はびっくりし、目が点になってしまった。
メールを送る犬! それもパソコンを使わずに・・・ なんと不思議なことだ
「ポッちゃんが人間の言葉を理解できているのはうすうす感じていたが、メールをとばせるなんて、いったいどういうことだ?」そういうと
「賢ちゃん、僕はほんとうは犬じゃないんだ、アンドロメダ大星雲 nonta星 地球から220光年のかなたからやってきたんだよ、ぼくたちは物質とか原子構造とかいう概念をもたないから地球では犬の体を借りて生きているんだよ。」
「それじゃあ、ポッちゃんは宇宙人?」
「そう、宇宙のかなたから来てるんだ。」
いろいろメールを使って会話をし、ポッちゃんはnonta星から地球の生命体の調査に来ている科学者で、寿命という観念もなく、永久的に生きられるのだが、地球では犬の体を借りているため、犬の寿命が終わった時点で自分の星に帰らなければならないということもわかった。賢介はキツネにつままれたみたいな気がした。