同じ時の 舞台裏 想いの螺旋9 「一体どうなっているんですか? この事態は? いや…どういうおつもりなんですか?」 「考えをお聞かせください元始天尊様」 太乙を筆頭に次々に口を開く十二仙達。 あるものは疑問を。 あるものは不満を。 あるものは元始天尊を非難すらした。 それもそのはず。 元始天尊は千里眼で二人の道士が見つからないと知ると 捜索どころか事態の静観を命じたのである。 どんなに十二仙が問い詰めても 「いずれ二人は無事帰還する。 わしらにできることは何も無い」 の一点張りなのだ。 いくら師の命とはいえ十二仙の忍耐も限界に来ていた。 要するにマジ切れ寸前状態である。 理由なき理不尽な命を聞くつもりはなかったし なにせかかっているものは大切な弟弟子二人の命なのだ。 十二仙は大層二人の道士を可愛がっていた。 ほぼ自分の弟子同様に。 そんな可愛い二人を理由無くして助けないなど聞き入れられる ものではないのだ。 それなのに。 「わしの言葉を信じて待て」 元始から出た言葉がこれである。 信じられるかクソ爺と十二仙全員が思ったその時。 ツルの一声はやって来た。 「それは私にも聞かせられぬことかのう?」 太公望そっくりのジジイ言葉。 けれどもそれを発した声の持ち主は壮絶な美貌を持った美女だった。 「りゅッ竜吉公主っ!!」 うめく元始。 一応の形であれ自分の直弟子にあたる十二仙には命を下す ことはできるが女仙をまとめる立場にある公主にはさすがに 元始天尊でも理不尽なことはできない。 「話してくれるの? 私だけでなく、この場にいるすべての者に」 妖艶に微笑んだ公主のその笑顔に勝てるものはー その場にはいなかった。 同じ時の 舞台裏。 違う世界の 賢者達。 next
**************
舞台裏。
このまま解説編に突入です。
しかし公主様は最強ですな。


峪栞