からから
からから
虚ろな音
からから
からから
これは
これは
何の音??
想いの螺旋2
「普賢…ちょっといい?」
常になく思いつめた表情の太公望に普賢は手に持っていた
読みかけの本を下におろしていつもの笑顔で頷いた。
「普賢は…どうしていつも笑っているんだ?」
言い難そうにそれでも切り出してきた太公望。
途端に普賢は困ったような笑顔になる。
「ゴメンね…まだ…言えない…」
「どうしてっ?どうして言えなんだよ?」
泣きそうな表情で太公望は普賢に詰め寄る。
自分はそんなに信頼されていないのだろうか…
不安と疑念が容易に見てとれて普賢はとにかく彼を宥めようと
手を伸ばした。
「どうして!?
どうしていつもそんなに笑顔なんだよっ。
普賢には辛いこととか悲しいこととかそういうことはないのかっ?
それとも…何も感じないのかっ」
途端に伸ばされた普賢の手がピタリと止まる。
その表情に走ったのは…
驚愕だろうか?
それとも怒り?
否…それは諦めと悲しみ。
わずかな沈黙がその場を支配する。
「ふ・・・普賢??」
俯いたまま何の言葉も発さない普賢に太公望は気遣わしげな声をかける。
「望ちゃんまで…僕のことをそんな風に見てたの?」
その普賢の表情を何と表現すればいいのだろう。
「君だけは…知っていてくれると思ったのに…」
泣き笑い。
悲しそうに微笑んでいるのに…
どうして普賢が泣いてるように思えるのだろうか…
「君までがそう感じるなんて……僕には…
やはり感情なんてものは無いのかも知れない…」
「普賢…?僕はっ…」
差し出されたのは温かな手と救済の言葉。
しかし太公望の手も言葉も普賢に届く前に
闇に消えた。
すべては闇に飲み込まれ。
残ったのは二人の少年の存在の名残と
壊れて回る歯車。
からから
からから
輪から外れて
壊れて
壊れて
それでも
回り続ける
虚ろな歯車
からから
からから
空回り
ねぇ
何を
誰を
探しているの?
探しているのは
見えない君の素顔
Next
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二人の失踪前の出来事…。
しかし短いなぁ…。
すれ違いの上に喧嘩をしてしちゃってますね。
相変わらず暗い…。
ちょっとは明るく前言撤回です、ごめんなさいー(><)
ちなみに普賢ちゃんの過去はろくでもないです。
だから話したがらないんでしょうけど。
理由はそれだけでも無かったり…。
次からは普賢ちゃんの過去暴露編です。
峪栞