終幕の裏 想いの螺旋14 「レーダーで二人を補足っ!! 見つかったよ!」 太乙が歓声を上げる。 「うっしゃ俺が早速迎えに……」 言いかけた道徳を無常にも他の十二仙は 踏みつけていった。 黄巾力士ロボが次々に飛び立っていく。 「あきれたね……これは」 誰よりも一等先に辿りついた太乙は溜息をつく。 ようやく見つけた弟弟子二人は。 寝こけていたのだ。 しかも二人共大の字になって。 「まったく…大物なのか単なる呑気者なのか…」 それでも離れていない二人の手を。 離れないように、注意しながら彼は二人を運んだ。 体力派ではない彼にとっては大層辛い仕事 ではあったけれど。 「心配したのだぞ、二人供……… 大体悩み事があるならなぜ私に一言言わぬのだ。 いつもで相談に乗ったものを…」 「ごめんなさい、公主様」 「次から気をつけます」 しゅんとした様子で公主の前に畏まる二人。 元始天尊のお説教から解放された二人が とにかく休めるように、と。 公主は自分の洞府に半強制的に連れてきたのだ。 「まあお説教はこのあたりにしておいて… 食事の用意をさせるから風呂でも入って参れ… 着替えは私の弟子に頼んで…」 「「結構ですっ!!!」」 着替え云々の話を即座に断ると二人はその場を 逃げるように辞した。 昇山してまだ数年の二人だが、妙齢の女性に 自分たちの服を用意して もらうのはやぱり気恥ずかしかった。 いや数年だからこそ…と言うべきか。 もっとも公主はそれを知っていて言うのだが。 「やっぱり公主には敵わないね…」 「いつになったら僕ら勝てるんだろう…」 二人でこれからの果てない戦いに思いを馳せ、溜息をつく。 それから着替えを取ってこようという話になり 各自に用意された部屋に戻った。 公主は好きだがここの洞府は女性が多いので 太公望は少し苦手だ。 まあ女仙が集う場所だから当然といえば当然だが。 勿論、碧雲、赤雲など少し変だが闊達で 馴染みやすい相手もいる。 太公望はまだ解っていない。 正確には普賢に向けられる女仙達の視線が嫌で、 ここが苦手だということを。 まあ確かに普賢のほうが顔がいいし、綺麗だし、 女性経験豊富だろうけどさ。 垣間見た過去にあれだけの女性に言い寄られて いたのだから。 きっと総数はとんでもない数なのだろう。 むか。 むかむかむか。 なんか…ムカツク。 何で僕……こんなにむかついているんだろう? 寝台に腰を下ろして普賢は一つ溜息をつく。 すると即座にドアがノックされた。 「はい…?」 「あの…普賢様… 今から湯浴みをされるとお聞きしたので… お手伝いをしようかと……」 誰だったっけ… 確か前にもこんなことを申し出てきた娘だ。 あの時きっぱり断ったので、もうあきらめたと 思っていたのだけれども。 「要らないよ… 以前も言ったけれど… 僕は君の気持ちには応えられない」 ドアも開けずに声を返す。 外にいた娘の、息を呑む気配が聞こえると。 そのまま駆け出す足音が聞こえた。 まったく… なんだって自分の周囲にはこんなに女性が 寄ってくるのだろう。 何も自分のことなど知らないのに。 それでも以前は適当にあしらっていたのだけれど。 最近は間髪いれず断りを入れている。 だって。 望ちゃんにそんなこと知られなくないもの。 そう、過去のことだって知られなくなかった。 あんなに自分が無機的な人間だったから。 ずっとそれに理由を押し付けていたけれども。 それだけではない。 女達との関係を知られたくなかった。 嫌われたくなかった… 軽蔑されたくなかった… "そういう"意味で。 「僕は……」 一旦彼は留まる。 言葉にしてしまえばきっと止められない。 完全に自覚してしまうから。 でも。 それでも。 譲れない想いがある。 例えどれほどかなう望みが薄くても。 「僕は望ちゃんが好きだ…」 軋む想い。 願いは強く。 再びすれ違う。 きりきり きりきり ねじれて ねじれて ねじれて ねじれて すれ違うこの想いは 一体いつ重なるのだろう? 僕らは何処で間違えたのだろう? ほらまた。 音が聞こえる。 きりきり きりきり 螺旋は再び巻かれる -the end- ************** はいっ終わりッス 誰がなんと言おうと終わりですっ 後味激悪ι ああでも終わりナンデス!! 最初からこの終わりは決めたましたから!! まあお二人が恋を自覚する話? じゃあモットまっとうなん書け!! とにかく終わりです。 終始ヘンな話でしたが感想いただけると嬉しいです(^^ でわでわー 峪栞


    <紅馬のコメント>
  
    峪栞さんのHP閉鎖(涙)の際、頼み込んで頂いてしまいました!!
    私、この『想いの螺旋』の普賢とっても理想なのですよ!!v
    普賢の過去で私の中では最もしっくりくる作品なのですv
    人より物の方が好きな処とか(物理学を得意とするのはこの辺から…)
    感情の表し方とかあの微笑みの裏とか。見事に辻褄が合っているのです!!
    しかもモテる普賢…!!(超重要!!/笑)
    女の人に言い寄られて仕方なく抱く普賢ってとっても理想です!!vv(テクニシャンの由来よねv/笑)
    そしてそんな過去にやきもち妬いてる望ちゃんもすっごく可愛いですvらびゅーーんvv
    普賢の為に頑張ってる望ちゃんもすっごくかわいかっこ良いですv
    引いては自分の為でもあるわけですが…(笑)
    栞さんは「これ本当に友達の関係か?」と言われてましたが、私はばっちり友達の関係だと思いますVv
    ベタベタし過ぎない空気の様な関係vでもちゃんとお互いがお互いを想い合っているみたいな…v
    あぁ、栞さん、素敵です!!v
    こんな良い物有り難うございました!!V


    …で。実はまだ続きで隠し裏があるのです(笑)。
    このページに隠れています。難易度Aなのですぐわかる筈(笑)。