動物の名前を持つゾウムシ(3)


ツノクモゾウムシ Phylaitis maculiventris Voss


ツノクモゾウムシ


「クモ」というとあまりよいイメージを持っていない人が多いのではないでしょうか. 「クモ」と言っても木や草の間に網を張って虫が引っかかるのを待っているクモではなく,地上や樹上を徘徊して虫を捕らえるクモに似ているということでしょう. クモゾウムシの仲間(クモゾウムシ亜科 Conoderinae)は日本に30種あまりいますが,クモ的な形をしているのは数種類だけです. 熱帯には本当にクモと間違えそうな種類もたくさんいます.なぜクモに似ているのでしょうか.クモに擬態しても人には嫌われるでしょうが, クモを好んで食べる虫,鳥,カエルやトカゲなどの天敵から逃れやすくなったとは思えません.
この仲間の特徴は,写真でも分かるように,複眼が大きく頭部の大部分を占め,両方の複眼が大きく接しています.また,足が 長くない種でも他のゾウムシに比べて結構敏捷に動きます.特にこのツノクモゾウムシは足も長く枯れ木の上をかなり速く歩き回ります. 実際クモと見間違えるくらいです.オスの前胸下部には長い牛の角のような突起があり,これが和名の由来となっています.


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