イネミズゾウムシ Lissorhoptrus oryzophilus Kuschel
え?ゾウムシが泳げるの.そう思うかも知れません.あの体型からしてとても泳げるとは考えられないでしょう.
でもこの虫は結構上手に泳ぐのです.もっとも,ゲンゴロウほどうまくはありませんが,ガムシとどっこいといったところでしょうか.
近縁にイネゾウムシ Echinocnemus bipunctatus Roelofs がいますが,こちらは「泳ぐ」と言うより「もがく」といった感じで
水面を移動して行きます.ほかにもミズゾウムシの仲間やカギアシゾウムシの仲間が水面を歩きますが,
この虫のように水中をじょうずに泳ぐものはほかにはいません.
(沢田氏のHPに
水面を歩くウキクサミズゾウムシの動画があります.)
本種は1975年愛知県で発見されました.アメリカから入ってきたものと思われます.メスだけで単為生殖をするため,
また生息環境が似ていたため,瞬く間に全国に拡がってしまいました.田植えが終わってしばらくしたころ,
たいがいどこの田でも見ることができます.幼虫はイネの根を食べて育ちます.呼吸は植物に気門を突き刺して行っています.
夏に羽化した新成虫は畦や周辺の林の中などで越冬します.
イネの主要な害虫となっているため,多くの農業関係のHPに載せられていますので覗いてみられるとよいでしょう.