チビコバンゾウムシ Miarus vestitus Roelofs
名前が示すように体長2-3mmと非常に小型のコバンゾウムシです.
コバンという名は体型が上から見ると長円形すなわち小判型をしていることに由来します.コバンゾウムシはあまり普通には見られない種です.
産地では個体数は少なくはないのですが,どこにでもいるというわけではありません.
ほとんどのコバンゾウムシの仲間は花にやってきますが,大概は花の中に潜り込んでいて外からでは見つからない場合が多いようです.
種によってやってくる花が決まっていて,キボシコバンゾウムシはタニウツギ,カミヤコバンゾウムシはホタルブクロ,オウコバンゾウムシはオオヤマレンゲ
といったぐあいです.本種は平地では9月上旬ツリガネニンジンが咲き始めると現れますが,2週間くらいで姿を消してしまいます.
上の写真からも分かるように,本種はまだツボミのうちに子房の付け根付近を穿孔し卵を産み付けます.幼虫はやがて成長してきた種子を食べて育ちます.
ツリガネニンジンの方は種子を食べられても,子房は枯れることなく大きくなっていきます.植物の側から見ればずいぶんと損な役回りです.
やがて幼虫は内部を食べ尽くすと,そのまま蛹になり,子房の中で羽化し,成虫は脱出して越冬します.