校友会誌

 

春巻に春餅(シユンピン)春雨とこしへの春 円卓を回し続ける

 

陸橋を渡れば別の町ありて知らぬ豆腐屋の自転車が来る

 

アンドリュー・ワイエス画集従兄弟より届く長らく会はざるままの

 

急行の通過する駅わたくしの足らないとこを照らす満月

 

豆皿に塩美しく盛らるるを両手をあげて嗤ふ招き猫

 

妻隠る室伏広治のハンマーは鈍き音たて芝に転がる

 

あかしあの匂ひたちこめもう春に後戻りできない木々がある

 

生霊死霊言霊精霊みんな来よわたしだけでは私になれぬ

 

じっとりと肌湿らせる走り梅雨校友会誌をゴミ箱に棄つ

頭の中に蝸牛(くわぎう)二匹を棲まはせてずぶずぶぬるい液に溺れる

 

 

 

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