八千代 上原輝男
ためいきよ千代に八千代に身を削る四季は螺旋に熔けてゆく蝋 わたくしの歌という歌とこしえに一つ名もなき華ともなれよ 少年は母を慕うも裏切りを約束とする恋なるがゆえ 細雪なごり雪もう旅立ちの朝は幽けし故郷さらば 陽が告げる春のことぶれ歌もまた叫びのなかに青く咲くよう ともすれば朱なる頬よ宵に酔い夏うつむけば言葉を失くす
風の声さやかに渡る白妙の雲よ刹那に秋は流れる どこまでも玄冬の冴えかえる空われという孤児みんな忘れろ
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