発芽玄米

 

 

みんなして癖毛の発芽玄米の頭を撫でてやる夕まぐれ

 

右左ぜんぜん違ふ感情線父さんに似た左手が好き

 

少しだけ意味を違へて答へをりいつもまつすぐ生きてられない

 

いつまでも色失はぬ蔦紅葉けふの優柔不断を赦す

 

伝ひ来る固さが痛い寒卵には寒卵のせつなさありて

 

目を固く閉ぢゐる夜のよるべなさ泡でかためた髪解くるまで

 

手の中の過去完了をこね回しわたしの今日は壊れたレコード

 

持ち上げたとたん崩れた泥団子そののちの人生のことなど

 

ぐじやぐじやと餃子浮きたる朝の鍋戦場は子のすぐ傍にある

 

 

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