かぐや姫は青い月の中で
かぐや姫は罪を犯し、罰として地球に堕とされました。
何故あれが罪なのか。
ただあの人を愛しただけ。
自分が幼い頃から側で遣えてくれた彼。
でもいつからか愛してた。
とても綺麗で優しくて。
月の皇族の身分は絶対。
身分が違う彼の子供を身篭った時、
それが漏れて地球に堕とされた。
子供はわしの腹の中で死んだ。
彼も終身刑を課せられ、地下牢に入れられた。
月の住人の一生は永遠に近い。
今も体罰を受け続けているのだろう。
…許さない、絶対に…
子供だけならまだしも、
綺麗で優しい彼に傷をつけるなんて絶対に許さない!
あの、どれ程の価値があるのか判別もできない、節穴の目をした
掟だけの王国など、いっそ滅んでしまえばいいのだ。
――でもその前に、彼だけは救わなくては…
月の住人は残酷で無慈悲。
過去、幾度も皇位の座で死刑や拷問を目にしたが
まるで地獄絵図のようだった。
彼への体罰も相当なものの筈…
手当てをしても傷跡は残るだろう。
手足の再生不能だって十分にあり得るのだ。
そんな痛々しい彼は見たくない。
わしが望むのは、完璧な綺麗な彼。
――だから、これは計算された事……
正当な皇位継承者のわしの力で、一国を滅ぼす事など容易い。
呪符や結界が何重に施されていても、それらを解いて力を使う方法など
あの時もその時も、幾らでも機会はあったのだ。
そうしないで大人しく地球に堕とされたのは全て計画の中の一端。
全ては彼の為――
少女は青い月を見上げる。
子供の頃から夢に見た瞬間。
でも決して違える事のない未来。
――時は満ちた――
月から迎えが降りてくる。
死神の自分を乗せて帰る御輿を轢いて。
使者から月の国宝を受け取り老人に手渡すと
老婆はその場に泣き崩れた。
相当わしの事が可愛かったのであろう。
だってそう思われる様に過ごしていた。
本当は、国宝と言って渡したそれはただの化膿止め。
可愛い自分達の子供が別れ際に差し出した物など
愚かなこの二人はそのまま火にくべてしまう。
だったら中身など何でも良いであろう?
そう、手に入れたかったのはこの薬。
月の皇族のわしでも手に入れるのは困難だった。
宝庫の呪符と結界は特殊で、無理に解けば
そのまま宝庫ごと崩壊して地下に沈んでしまうから。
――比べて、薬を掏り換える事は何とも容易。
『不老不死の薬』はどんな傷でも後遺症も跡もなく、
たちどころに治してしまうという神秘の薬。
彼が負っているであろう傷も直ぐに治る。
わしは薬を袂に忍ばせ、泣き崩れている老夫婦を後目に籠に乗り込んだ。
御輿の車輪が回りだす。
懐かしい故郷。
待ち望んだ彼。
自分が戻った月は血で染まるが、
彼の流す血は止まる。
そうして完璧な、綺麗な彼と
誰もいない、約束された聖地で
二人で永遠を過ごすのだ。
「今から帰るから…待たせたな、普賢――」
御輿は青い月に向かって走る。
いつまでもどこまでも、静かに青く輝く月へ――
FIN.
うっわー、ひっさしぶりに書きました、小説(と言えるのか激しく疑問)。
今回のTOP絵を描いてたらこんな話が浮かんできちゃったわけなんです。
なんとも幼稚な文章ですみません!!;
言葉のレパートリー少ないんですよ〜ι←日本人として問題。
でもでもなかなかにして楽しかったですv
やはりマンガはマンガの良さ、SSはSSの良さがありますよねv
今回の望ちゃんはけっこう残酷で無慈悲な性格として書いたんですが…
月の住人って確か意地の悪い性格でしたよね??
というか、かぐや姫の話自体あやふやです。すみません…
と、とにかく望ちゃんにとって普賢は何よりも大切な人ということで;
…と言っても普賢に傷跡残ってでもいいから直ぐに助けるべきですよねι
何年もの間体罰与えられ続けてるのわかってるくせに、自分のエゴで
ほったらかしにしてる……(滝汗)
まぁこんな話もあっていいじゃん!!…やっぱ駄目ですか…?(汗)
でもマンネリ防止しないとさ、私も…(沈)