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JBL Professional Series Model 4343B
【 JBL 】 James Bullough Lansing
それは、誰もが一度は聞いたことがある名称 。 ( JBL = ジェームス・バロー・ランシングとは、スピーカーの開発技術者であり、JBL を創設した人物 ) ちなみに、JAPAN BASKETBALL LEAGUE = JBL ではありませんから (笑) JBL は、1946年に設立され、アメリカ合衆国カリフォルニア州ノースリッジに本拠地を置く世界有数のスピーカー製造会社です。 JBL の多くのスピーカーの特徴は、ドライバーが軽く高効率であり、大型の低音用のドライバーを有していることです。 また、他社では珍しいホーンドライバー、コンプレッションドライバーを備えた製品群を持っていることも、このメーカーの特筆すべき特徴ですね。 JBL のスピーカーは初動特性と音場表現能力に優れているとされ、プロの録音スタジオ・映画館などで多く使われています。 昔は、国内の山水 (SANSUI) というメーカーが輸入元として取り扱っていましたが、現在はハーマンインターナショナルが取り扱っています。 JBLの歴史的 銘機 『4343』 いつかはクラウン...いや、いつかは 4343 ... 1980年代...そんな思いを抱いて 20代を過ごした私でした... その頃のオーディオ雑誌の試聴におけるリファレンス・スピーカーと言えば、必ず JBL4343 が標準になっていました。 今は B&W (800 Series Diamond) が多いでしょうか? 本来 4343 はプロユースのスタジオモニターなのに、これが一般家庭に受けてしまった商品で有名です。 いわゆる 4343 ブームです。 JBL もこれだけの人気があるなら、わざわざコンシュマー版を出す必要もないとばかりに 2機種のみ。 @ エンクロージャーがグレイに黒バッフルの SF ・・・シルバーフィニッシュ A ウオルナットにブルーのバッフル...いわゆる JBL の象徴? と言われたブルーバッフル ※ 写真はケンリックサウンドさんのHPからの抜粋
これがウオルナットにブルーのバッフル...いわゆる JBL の象徴? と言われたブルーバッフルの 4343B/WX 他の機種のようなプロ用とコンシュマー用を分けた製品作りはされなかった。 恐らく、あの時代でこれだけ高価なスピーカーが、かなりの台数売れたのは前代未聞だったでしょう。 特に本国アメリカでは不発だったのに、日本国内での爆発的な売れ行きに、JBL 本社の関係者が日本には録音スタジオがそんなにあるのか? ...と尋ねられた。 という話は有名です。 しかし、日本国内の録音スタジオで 4343 を見かけることはほとんどなかったのです。 つまり、売れていたのは録音スタジオではなく、日本の狭小住宅に住んでいる一般の家庭だったのです。 なかには、裸電球の 6畳間に入れている貧乏学生も少なくはなかったといいます。 ほとんどがローン、当時は月賦 (ゲップ) って呼ばれていました。 4343 の 4wayというマルチ構成は周波数帯域の最もつながりの難しい構成ですが、それを見事に解決していたのも 4343 の人気ではないかと思いますね。 そして、その性能の割には比較的コンパクトで一般のオーディオファイルでも使える大きさがあげられます。 つまり、ハード面で JBL のトップレベルでありながら、場違いな点さえ気にしなければ 6帖間にも収まる、という JBL の技術力の高さ? さらに、JBL の巧みなビジネス戦略がマニアの心を揺さぶって、それに拍車をかけるように各オーディオ誌がこぞって称賛した、という充分な下地もあったかもしれませんね。 もう一つの大きなポイントはやはりそのデザインです。 グリルを取るとバッフル表面はポートの穴なども含めて日本人ならもっと丁寧に上手に仕上げるのではないか、という気がしますが、ユニット本体のデザイン、 各ユニットのレイアウトは正に機能美の結集したものと言ってよく、不要な飾りが一切無い見事なものだと思います。 そのような訳で、とにかくこの 4343 は実にカッコいい憧れのスピーカーだったのです。 70年代風のカッコ良さだけで音楽を真面目に聴くための機器であることを主張していたのも魅力の一つでしたね。 この 4343 は、とにかく音のぬけの良さに加え骨太な低音と力感があり、ダイナミックなサウンドに酔いしれていたのも確かです。 それは「いつでも低音を出せるぞ!」みたいな余裕の姿勢が感じられ、濃厚なのに嫌味にならない「気品と格調」感がありました。 70年代的なカッコいいサウンド、それが JBL4343 で、4343B はやや寛いでいて、より厚みを増した音質でしたね。 ジャズピアノに透明感、力感があって、実にスカッとした気分で試聴していたのを思い出します。 とにかくエネルギッシュで、ホットでライブネスのある演奏が楽しめた 4343 でした。
4343 の背面にはヤマハの調音パネル <ACP-2> を設置 ※ ヤマハの調音パネルは他にも防音室の壁面に10枚設置済み ちなみに、 JBL の象徴とも言われている 『ブルーバッフル』 ではなく、『シルバーフィニッシュ』 です。 この 4343B は、アルニコタイプの 4343 ではなく、後継機種のフェライト・マグネットタイプの 4343Bです。 ちなみに、アルニコタイプの 4343 を 4343 A と表現する方がいますが、正確には 4343A というモデルは存在しません。 正確には、4343 と色違いの 4343WX の2種類だけです。 この呼び方は、フェライト仕様の 4343B の発売後、前機種のアルニコ仕様の 4343 と区別するため、あえてアルニコの "A" と呼び始めたと記憶しています。 ちなみに、『アルニコ』 とは、アルニコ磁石 (Al-Ni-Co) のことで、アルミニウム (Al)、ニッケル (Ni)、コバルト (Co) などを原料 として鋳造された磁石(鋳造磁石)のことです。 『アルニコ』 より 『フェライト』 を選んだ理由 4343B
は、ユニットがアルニコからフェライトに変わり、より聴きやすくなった 4343 の後継型です。 4343B の主な特徴は、アルニコタイプの 4343 より 『 倍音 (※)』 が豊かで響きのバランスがまとまっていると感じます。 特に弦楽器(ウッドベース、アコースティックギター、ヴァイオリンなど)を視聴すると良く分かるハズです。 また、アルニコは経年で保磁力が弱まりますが、フェライトは弱まりません。 したがって、アルニコは経年減磁してしまい、最終的には再着磁が必要です。 ちなみに、4343 アルニコの再着磁費用は本体持込の場合で、2 本セットで約 14 万円(工賃込み)かかるそうです。 さらに、21世紀の今だからこそ言えることは、最新のアンプは 4343 が発売された1970年台の時代のアンプと比べるとクオリティが格段に向上しているため、 最新のアンプで 4343 シリーズを鳴らした場合、アルニコタイプの 4343 よりフェライトタイプの 4343B の方が 『音の完成度が高く聴こえる』 ということも言われているため、中古市場では 4343B をあえて求められる方も少なくないです。 先にも述べましたが、材質の違いによる先入観だけで 『とにかく 4343B のフェライトなんかより、アルニコの 4343A が良いに決まっとる!』 っていう輩が 21世紀になっても存在することは事実ですね(笑) おそらく、その方々は今でも昔の古い真空管アンプで鳴らしていることでしょう。 ですから、最新型のアンプを繋いで 4343 と 4343B をブラインド視聴しても聴き分けることが不可能だと思います。 また、ブルーバッフル (WX) よりシルバーフィニッシュ (SF) を選んだのは、グレーのエンクロージャーにブラックバッフルの方が、『クールで無骨な男の趣味』 という魅力が私には感じたからです。 ※ 倍音とは? 音には基音と倍音があります。 基音・・・元の音のことを云います。たとえば “ ド ” なら “ ド ” だけの音のことです。 音は、元来「複合したもの」と考えられ、その複合音の最低音を基音といいます。 倍音・・・基音の振動数 (周波数) に対して整数倍の振動数をもつ上音のことを云います。 板や膜による上音は倍音を構成しませんが、弦の振動によって発生する上音はだいたい倍音を構成します。 倍音の呼び方は、基音を1として第2倍音、第3倍音・・・のように呼びます。 第1倍音(ユニゾン)第2倍音(1オクターブ)第3倍音(1オクターブと完全5度)第4倍音(2オクターブ)のように呼びます。 倍音は、豊かな音色を形成し、基音の高さを明確に感じさせる機能をもち、2個以上の音の協和にも関係します。 また、上音の倍音だけでなく、下方にも倍音があります。 身近なもので、ギターで例えると... 12フレット目 (弦の1/2のポイント) で鳴らすハーモニクス音は、2倍音 (開放弦の1オクターブ上) 7フレット目と19フレット目 (弦の1/3のポイント) で鳴らすハーモニクス音は、3倍音 (開放弦の1オクターブ上) 5フレット目と12フレット目と24フレット目 (弦の1/4のポイント) で鳴らすハーモニクス音は、4倍音 (開放弦の2オクターブ上) 4フレット目と 9フレット目と16フレット目 (弦の1/5のポイント) で鳴らすハーモニクス音は、5倍音 (開放弦の2オクターブ上) ということです。
4343B は、1980年頃に製造されたスピーカーなので経年劣化等により基本、数年ごとにメンテナンスが必要になります。 そこで、JBL のスピーカーメンテナンスと言えば、 ケンリックサウンド 【KENRICK SOUND】 ちなみに、日本人のケンさんとアメリカ人のリックさんが共同で始めた会社なので、ケンリック? なのかは不明です(笑) このケンリックサウンドという会社は、修復にかける情熱と技術がとても素晴らしく、メンテ、レストア後の仕上がりの素晴らしさには脱帽させられるほど 評価の高い店舗だと思っています。 老朽化した私の 4343B のスピーカーユニットは、ケンリックサウンドさんの手によって蘇るため、今後も安心して 4343B を所有し 続けることが出来ます。 メンテナンスの主な目的は、エッジとダンパーの素材を 『セーム皮』 に取替えることにより、今までのウレタンのように経年劣化の心配がないよう、 半永久的に使用できるようにすること。 4343B スピーカーユニットのメンテナンスに至るまでの経緯については、次のブログを参照。 ・ ウレタンエッジの亀裂発見 ・ 仮見積りからユニット送付 ・ 最終見積りと正式依頼 ・ メンテナンス完了 <主なメンテナンス内容> 1.ウーファー < 2231H > (1) セーム皮エッジへ交換 (2) ダンパー交換 (3) ダストフィルター交換 (4) ギャップ内の清掃 (5) コーン紙の着色 2.ミッドバス < 2121H > (1) セーム皮エッジへ交換 (2) センターキャップ交換 (3) ダストフィルター交換 (4) ギャップ内の清掃 (5) コーン紙の着色
詳細は、 JBL 43XX シリーズ スペック比較表 を参照ください。
4343 は床に直置きするタイプのスピーカーではないので、ブロック等、なんらかのスタンドが必要なスピーカーです。 特に 4343 の場合は、15インチ (38cm) の大口径ウーファーがエンクロージャー底辺の間近にあるため、床への不必要な振動を避けるためにも最低でも床から ある程度離す必要があるスピーカーです。 そこで業界で高い評価をされている TAOC のスピーカースタンドと TAOC のスピーカーベースをそれぞれ購入し、それぞれの音がどの程度変わるのか試してみました。 @ TAOCスピーカーベースに 4343 を乗せた場合 A TAOC スピーカースタンド SPB-400DH を使用した場合 イメージ的には、次のイメージ図 (自作) のようだと思っていただければ良いでしょう。 結果、@ は予想どおり、床全体に低音が響き渡って、4343 の抜けの良い低音が楽しめなかったです。 映画インディ・ジョーンズの地響きの再生など、音響的には適していると思いますが、音楽的にはNG!でした。 A は、一瞬にして違いがわかりました。 それは、@ に比べてかなり低音が引き締まり、部屋全体にバランスの取れた音だったため、比較視聴する必要もなかったほどです。 ちなみに、次のような TAOC 推奨のセッティング 3種類を試してみましたが最終的には、音の切れが向上する 『 間隔小 』 が最適でした。
一般的に接続コード、ケーブル類を変えると音が変わるのは事実です。 ただし、それ以上に音が変わるのが上記に記載した、スピーカーの設置場所(位置)です。 つまり、高価なスピーカーケーブルを購入してもスピーカーの設置場所によっては、まったく無駄な投資になる可能性が高いっていうことです。 したがって CP 性を重視するなら、高価でなくてもそこそこの価格帯のスピーカーケーブルで最適なスピーカーの設置場所を選んだ方が良いという訳です。 愛用しているスピーカーケーブルは、Zonotone の 『6NSP-Granster 7700α』 を床下の専用ダクトを通して使用しているため、全長15m分を使用しています。 この 6NSP-Granster 7700α は4芯構造のケーブルなので、4芯のうち2芯同士を捩るスターカッド接続によりJBL4343をシングル方式で鳴らしています。 ちなみに、私の場合は一般的に対角に向かい合う2芯同士を縒るスターカッド接続ではなく、隣り合う芯線を縒る方法で接続しています。 また、4芯まとめてプラス・マイナス別で左右 (LR) 計4本のケーブルを使って接続している方がいますが、実際は4芯そのまま使うとSNが悪くなるという現象が生じるため、お勧めしません。 もし、4芯のままお使いの方は一度 2芯接続して確認されることをお勧めします。 この 6NSP-Granster 7700α の特徴は、エネルギッシュなサウンドと厚み、そしてボーカルの定位が 『ストライク』 そのもので、私好みであったということです。 そしてパンチ力も兼ね備えているため、愛機 『JBL4343』 との相性も抜群なのです。 ※ 私が使用している各種ケーブルについては、こちら をご覧ください。
JBL4343 はスピーカー端子がバイアンプ方式に対応しており、300Hz 以下を受け持つウーファー部分とそれ以上を受け持つ中・高域の 3way ( mid/high/ultra high ) をそれぞれネットワークから切り離してドライブできる仕様になっています。 ただし、高域の 3ユニットは既存の内蔵ネットワークを介することになるので、正確にはマルチではないのですが、ウーファーを単独のアンプでドライブできるのは低域の コントロールが可能という意味では充分なアドバンテージがあると考えてのことらしいです。 したがって、4343 には内蔵のネットワークによるシングルドライブ (INTERNAL CROSSOVER) のほか、背面スイッチの切替によって 300Hz における 2 チャンネルのマルチアンプドライブ (EXTERNAL CROSSOVER) が可能になっています。 なお、マルチアンプドライブの時は、純正のチャンネルディバイダー 5234 とフィルター基板 52-5140 などが別途必要です。 ちなみに、4343 の標準の端子は簡易なプッシュ式のもので、直径 2mm ぐらいまでの細いケーブルしか通りません。 経年劣化により、どの個体もスプリング強度が確実に弱まっており、端子とケーブルの接地部分の圧着度が相当低くなっています。 これを金メッキなどの大型ターミナルに交換しました。 これで直径 5〜8mm のスピーカーケーブルや、バナナプラグ接続にも対応します。 メーカー純正にこだわる方以外は是非、交換されることをお勧めします。 |
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